【テーマ】安全靴の基礎知識
担当:工事部 生田宏司
実施日:2024年10月01日(火) ※9月度協議会
現場作業での安全確保に欠かせない保護具の一つが「安全靴」です。
作業中の予期せぬ事故から身を守るためには、安全靴の選び方やメンテナンスのポイントを押さえておくことが重要です。
今回は、安全靴の歴史、規格、そしてメンテナンス方法について詳しく紹介します。
【1】安全靴の歴史
安全靴の起源は、1947年頃の戦後復興期までさかのぼります。
当時、進駐軍の払い下げ品を活用した自動車タイヤを靴底に使用し、つま先部分に「軟鋼板」の先芯を入れた靴が作られました。
しかし、まだまだ安全靴と呼べるには遠く、お粗末な靴だったようです。
1972年には、現在のJIS規格(JIS T8101)が制定され、労働安全衛生法の施行に伴い、安全靴の着用が義務化されました。
【2】安全靴の規格
安全靴とは…
靴のつま先部分に鉄板などの規定された強度を持つ先芯が入った靴のこと。
つま先部分に鉄板などの先芯が入っており、重いものが落下した際に衝撃からつま先を保護します。
◎ 安全靴
厳密に言うと、安全靴と呼べるものは、
『JIS規格が求める基準(耐圧迫性能や耐衝撃性能、材質など)に合格したもの』となります。
○ 安全作業靴
「プロテクティブスニーカー」と呼ばれる、より軽量で履き心地に優れた作業靴もあります。
こちらは、JSAA(日本保安用品協会)が定めた安全認定基準を満たしたものとなります。
最近はデザイン性の高い靴が販売されていますが、見た目だけでなく、現場の作業環境やリスクに応じて、適切な安全性能を備えた靴を選ぶことが大切です。
【3】よく使う道具の重量
安全靴を選ぶ際、耐衝撃性能や耐圧迫性能が重視されますが、これらの性能がどの程度の重さに耐えられるのかを知ることは非常に重要です。
特に、日常的に使用する道具の重量を把握することで、どの程度の衝撃や圧力が足元にかかる可能性があるかを理解しやすくなります。
以下に、代表的な道具の重量を挙げてみます。
■ 13.7kg
ハードトランス
■ 23.6kg
コアモーター+レール のセット
■ 43kg
発電機EG2600
※本体乾燥質量(kg)
もし誤って足元に落ちたら…。
日常的に使用する道具の重量と安全靴の耐衝撃・耐圧迫性能をよく比較し、リスクに見合った性能を備えた靴を選ぶことが大切です。
【4】メンテナンス方法
安全靴は、定期的なメンテナンスを行うことで長持ちし、その性能を維持できます。
メンテナンスの基本手順は以下の通りです。
❶泥汚れを落とす
ブラシを使って、靴底や靴全体についた泥汚れをしっかり落とします。特にソール部分は硬めのブラシを使うと効果的です。
❷ぬるま湯で拭く
ぬるま湯で濡らしたタオルを使い、靴全体を水拭きします。
❸洗剤で洗う
ブラシにぬるま湯と洗剤を付けて、優しくメッシュ部分を洗います。
❹陰干しする
洗った後は、風通しの良い場所で陰干ししてください。
❺インソールの交換
インソールは適時交換し、ソールの減り具合も定期的に確認します。
【5】最新のBOAシステムを活用した安全靴
最近では「BOAシステム」を搭載した安全靴も注目されています。
これは、靴紐を結ぶ手間を省き、ダイヤルを回すだけで簡単に靴を締め付けることができる画期的なシステムです。
特に、手袋をしている職人さんにとっては、素早く靴を脱ぎ履きできる点が大きな利点です。
ただし、BOAシステムには注意点もあります。
足首部分はしっかり締められますが、つま先側は緩くなることがあります。
また、ダイヤル部分が故障した場合の修理が大変だという点もあります。
※BOA社には「BOA保証制度」の提供もあるようです。web上からチェックしてください。
【6】まとめ
安全靴は、現場での事故を防ぐために欠かせません。
道具の重量や作業内容に応じて、適切な規格の安全靴を選びましょう。
また、定期的なメンテナンスを行うことで、靴の性能を長く保つことができます。
常に足元の安全を確認し、現場での安全作業に努めましょう。
ご安全に!
工事部:生田宏司